ゴリラ男

博物館でマンモスの足跡の化石が展示されている。

私と付き合っている年配の白人男がその足跡に自分の足を重ねて四つん這いになる。私も真似てみるが、その男の体は私のより体ひとつ分大きいので、後ろから私をすっぽり包み込むと、ゴリラが子どもを抱くように私を背後から持ち上げた。すると男は展示会場内をウホウホと行ったり来たりし始めた。

部屋の四隅を対角線を描くように忙しなく移動するゴリラ男の胸に抱きかかえられなす術もない私に、静かに展示を観ていた客たちの明らかに不審がる視線を感じる。それでもゴリラ男の動きは止まらない。

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